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国家の品格よりも政治家の品格(23世議員の弊害)

2006年24

宇佐美 保

  先の拙文《国家の品格について(5)(国家より個人の品格)》に関して、ペンネームjyo様から次のような貴重なメールを頂きましたので紹介させて戴きたく存じます。

 

国家の品格について(5)(国家より個人の品格)を読ませて戴きました。

小泉内閣の出鱈目ぶりには、ただただ呆れ返るばかりです。反論する気力もなくなるほど馬鹿馬鹿しい限りです。

 

BSE問題で誰も問題にしないことを、宇佐美さんが指摘して下さって、自分と同じ考えの方がいらっしったので、安堵しました。その部分は宇佐美さんの

 

「民間会社が、ある製品を新たなラインで製造される製品を購入する際は、購入する前にその新たなラインで製造される過程を製造側と購入側双方での立会い検査をします。」

 

のところです。私は豊田市に在住していますが、トヨタ自動車は求める品質が安定するまで、人を製造側ラインに貼り付けて帰りません

製造側の品質が保たれないと判断した場合は、そのメーカーとは取引を行いません。これが民間会社の常識です

 ですから、日本を「経済は一流、政治は三流」と言われるのです。

もう一つ「日本に輸出する牛肉は月齢20ヶ月未満」となっていますが、どのように管理されているのか、サッパリ解かりません。

目に見える脊髄部がそのまま輸入されるのであるから、目に見えない物など常識として、無管理状態と容易に判断できます。

 輸入した牛肉はロットアウトとして、至急返品すべきです。

 

宇佐美さんを見習って、日本を諦めず私も小泉内閣批判を続けます。

 

 そして、BSEに関しての米国側の監査体制は、毎日新聞(200623日)には、次のように記述されています。

 

米農務省の監察官事務所の報告で、米国の牛海綿状脳症(BSE)対策のずさんさがまた露呈した。日本向け牛肉の禁輸は長引く可能性があり、昨年12月の輸入再開について「日本政府は米国に安全対策を丸投げした」との政府批判も強まるとみられる。

 報告書は、12の食肉処理施設のうち9施設で、「記録不足」によって特定危険部位の除去が適切かどうか確認できなかったとした。しかも、業者の不備について政府の検査官が「必ずしも把握していない」とまで指摘した。日本の食品安全委員会が答申で、危険部位の除去について「監視の実態が不明」と指摘したことを裏づけた形だ。

 

 このような米国側の監査体制は、何も日本向けの牛肉製造ラインが立ち上がる前でも十分に日本側からの監査が可能であったわけです。

 

 なのに、このような

米国側に、得意の丸投げをした小泉首相らの責任は重大

です。

小泉氏は「民営化」を盛んに口にしていますが、彼らは「民の仕事が如何にして営まれているか?」に関しては全く無知なようです。

 

 

この最大の原因は、彼らが、実社会を知らない23世議員ばかりだからです。

従って、23世議員といえども、実社会で(官僚としてではなく)十分な活動をした後に、議員になるか否かを選択して欲しいものです。

 

 そして、民間の実情を知らずに「民営化」、「民営化」と喚き、国会では、単なる答弁のつじつま合わせに終始されている小泉氏を初めとする23世議員の諸氏は、joeさんのご指摘の

製造側の品質が保たれないと判断した場合は、そのメーカーとは取引を行いません。
これが民間会社の常識

通りに、米国産牛肉の輸入に関して立ち向かって頂きたいものです。

 

 更に、joeさんが、心配されている“「日本に輸出する牛肉は月齢20ヶ月未満」となっていますが、どのように管理されているのか、サッパリ解かりません”の件では、週刊ポスト(2006.2.10)には、驚くべき記事が載っています。

 

昨年6月、山岡賢次代議士(民主党)を団長とする超党派の議員団が米国の牛肉処理の現場を視察した時・・・

 

 冒頭の議員視察団が目撃した米国牛肉処理工場の状況を知るとゾッとする。

視察団が作業現場に行くと、当時の処理ラインは「30か月未満」と「30か月以上」にしか分かれていなかった。

米国では日本の基準と異なり、30か月未満の牛は特定危険部位を除去しなくてもいいことになっているからだ。視察メンバーが、「日本向けの20か月未満のラインはい?作るのか」 と聞くと、工場長は「コストがかかるから、作るつもりはない」と即答したという。

 また米国の場合、全ての牛の生年月日の記録があるわけではない。そこで月齢不明の牛は肉の色や骨の状態を月で見る肉質検査で判断することになる。

 だが、実際には牛の種類やエサの違いなどがあるため、月齢の識別は極めて難しい。そこで再び工場長に、

「あなたには月齢がわかるのか」と聞くと、当然だという風に、「いや、わからない」という答えが返ってきたというのである。

視察は昨年6月の時点だが、現在でも、「20か月未満」の条件が守られていないという疑惑は拭えない。

 山岡代議士はこう語る。

「臼歯の状態によって月齢判定をしているといっても、(冒頭の通り)水で洗っているだけで、口を開けることもしていませんでした。見たとしても、生後20か月の牛と2223か月の牛を判別するのは難しい」

・・・

そうした米国の牛肉解体方法に強く警鐘を鳴らすのは、BSE問題に詳しい東京大学名誉教授の山内一也氏だ。

「・・・私は、見てすぐに″違反″だとわかる脊柱混入よりも、目に見えないような微小な脊髄のかけらが飛び散った肉が流通してしまうことのはうが、危険度は大きいと考えています」

 

 このような状態では、米国での検査漏れで(或いは故意に検査せずに)輸入された牛肉をどうやってチェックし国民の口に入れ危険を取り除くのでしょうか?!

輸入されてしまったら万事休すではありませんか!?

この悲劇を防ぐ対策は、輸入される前、更にはその前の製造段階でのチェック以外にありますか?!

 

 ところが、悲しい事に毎日新聞(123日)には次の記事が記載されています。

 

 安倍氏は、米国産牛肉の輸入条件の見直しについては「米国側には条件を順守する義務があり、2国間の合意だから、そこを疑っていけば合意の意味もなくなってしまう」と述べ、必要ないとの認識を示した。

 

 こんな見解を、次期総理大臣として国民から圧倒的な人気を博している人物が吐くとは、呆れてものが言えなくなってしまいます。

 

 この安倍氏の見解を先のjoe様のトヨタとその下請け会社の関係に、照らし合わせてみたら、誰しも、この安倍氏が

世間知らずのボンボン

に思えてくるのではありませんか?!

トヨタを日本、下請け会社を米国に置き換えて考えてください。

即ち、

下請け会社には条件を順守する義務があり、トヨタと下請け会社間の合意だから、
そこを
トヨタが(下請け会社を)疑っていけば合意の意味もなくなってしまう

となります。

こんなことで、今のトヨタが存在しますか?!

 

 そして、米国での事前の検査を行わなかったミスを反省することなく、小泉首相、中川農相は、次のように、国会答弁での混乱についての反省に終始しています。

2月1日東京新聞

 

 小泉純一郎首相は1日午前の参院予算委員会で、米国産牛肉の輸入再開に際し、政府答弁書に盛り込まれていた事前の現地調査が行われなかった問題をめぐり「国会に対して十分説明が行われなかった点は反省しなければならない」と述べた。

 中川昭一農相は、答弁書通りの手続きを取らなかったことに関する責任について「私と厚労相は、閣議決定された答弁に反していないというのが政府統一見解だ」と反論。同時に「質問した議員と国会に対して、状況が変化したことの十分な説明がなかった点はあらためておわびしたい」と重ねて陳謝した。・・・

 

 “会社も色々、人生色々”等とほざきながら、“民営化!”を叫ぶ前に、小泉首相初め23世議員の皆様は、一度議員を辞して民間会社で研鑽を積んで、出直して頂きたいものです。

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